
【DeNA】2025現役ドラフト
2025.12.23 | 分析・セイバーメトリクス
現役ドラフト制度が定着し、各球団の「戦略的意図」が最も色濃く反映される場となりました。今回の横浜DeNAベイスターズにおける選手の入れ替えは、単なる戦力補強の枠を超え、チームが目指す「得点創出経路のパラダイムシフト」を象徴しています。
現役ドラフトの本質:長打の期待値か、進塁の再現性か
今回の入れ替えを考察する上で重要なのは、個人の優劣ではなく「機能の選択」です。知野選手が持つ「長打による瞬間的な局面打開」から、濱選手がもたらす「出塁と進塁の連鎖による得点圏創出」へ。球団は、攻撃のバリエーションを意図的にスライドさせました。
| 比較項目 | 知野 直人(退団) | 濱 将乃介(入団) |
|---|---|---|
| 打撃指標 (OPS) | .680 | .703 |
| 純粋長打力 (IsoP) | .122 | .098 |
| 得点圏創出 (三塁打/盗塁) | 1 / 10 | 8 / 15 |
| 得点期待値 (XR27) | 3.81 | 4.16 |
1. 攻撃手段の構成:IsoPが示す「一撃」か「加速」か
知野選手の最大のアセットは、内野手としては高い水準にあるIsoPにあります。
[計算式] 長打率 – 打率
単打を除いた「純粋な長打力」を示します。知野選手の .122 は、下位打線において一打で局面を変える「代打の切り札」としての価値を担保していました。対する濱選手は、本塁打こそ0本ながら三塁打8本という驚異的な数値を叩き出しています。これは打球の質に「加速力」と「走塁判断」が加わった結果であり、単なる長打ではなく「走者を進め、自らも得点圏へ突入する」という、相手守備にプレッシャーを与え続ける攻撃オプションを提供します。
2. 得点創出の効率:XR27に見る「アウトの価値」
今回の比較で最も注目すべきは、XR27の差です。
「その選手だけで打線を組んだ場合、27個のアウト(1試合)で何点取れるか」を示す指標です。
知野選手の3.81に対し、濱選手は4.16。この差はどこから生まれるのでしょうか。濱選手は四球39を選び、出塁を自力で増やす能力に優れています。出塁し、盗塁し、三塁を陥れる。この一連の動作がアウトあたりの得点期待値を押し上げており、打線が停滞しやすい展開において「自力でチャンスを生成する」能力が高く評価されたと言えます。
3. 運用上の含意:上位打線への「お膳立て」機能
チーム全体の攻撃設計として見ると、濱選手の加入は「上位打線の期待値を最大化させる」ための布陣と読めます。下位打線で濱選手が出塁・進塁することで、牧選手や山本選手といった中軸に「走者あり」の状況で回す確率を高める。これは、単発の長打に賭けるよりも、シーズンを通じた得点力の安定を狙った合理的な選択です。
結びに:戦略的選択としての現役ドラフト
今回の入れ替えは、決して知野選手の能力を否定するものではありません。知野選手が持つ一発の魅力は、新天地でこそ輝く「劇薬」となり得るでしょう。一方で、2026年のベイスターズが選択したのは、機動力と出塁を絡めた「現代的な得点経路の構築」でした。
濱将乃介という新しいエンジンが、横浜の打線にどのようなスピード感をもたらすのか。その「攻撃設計の正解」は、2026年のグラウンドで証明されることになります。


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